聴導犬ユーザーからのメッセージ
聴導犬に関心のある方に
目次
日本聴導犬協会は「全日本聴導犬ユーザーの会」を応援しています
全日本聴導犬ユーザーの会ホームページ
http://www.hearingdogpartners.com/
全日本聴導犬ユーザーの会ブログ
http://blog.goo.ne.jp/iadpinashiya
「全日本聴導犬ユーザーの会」メンバーからのメッセージ
聴導犬ユーザーの結集と発言が不可欠です
聴導犬しん(一般家庭犬から譲渡)ユーザー&「全日本聴導犬ユーザーの会」会長 岸本宗也
2002年2月に発足した聴導犬ユーザーの会である「全日本聴導犬ユーザーの会」ですが、ホームページなどがなかなか創れず、みなさまへのご周知もできずにおりました。このほど(福)日本聴導犬協会の支援でホームページ( http://www.hearingdogpartners.com )と「全日本聴導犬ユーザーの会」News Letter(会報紙)での情報が発信できることになりました。
ユーザーの会のNews Letterを、(福)日本聴導犬協会新聞20号(6、000部)に同封させていただきました。聴導犬普及のために、ぜひ、みなさまのお近くの聴覚障がい者や手話サークルのみなさまにお渡しいただけますと幸甚です。
1981年に日本では聴導犬育成の試行が始まりました。それよりも10年遅れでスタートした介助犬は現在70頭前後が活躍しております。2015年度で、認定された聴導犬は、60頭前後しかおりません。
普及が進まない理由はいくつかあります。そのひとつとしては「音を利用したことのない聴覚障がい者」には、聴導犬の働きは想像しにくいのです。ふたつめは、日本で育成が始まった1981年当初は高値で聴導犬を購入しなくてはならず「聴導犬は高い」という間違った認識が今も残ります。
私をはじめ、「全日本聴導犬ユーザーの会」メンバーは「聴覚障がい者にとって24時間体制で命を守り、生活に安全をもたらす」聴導犬への理解を広げたいと願っております。そのために、聴導犬ユーザー同士での意見交換の場を設ける必要性があります。聴導犬ユーザー自身が「聴覚障がい」と「聴導犬」について熟知している体験者だからこそ、希望者やユーザー同士で助言し合えると考えます。
互いに発言し合うことも「聴導犬」を通じた社会参加や自立にもつながると考えております。
みなさまご存知のように、聴覚障がい者は聴者(耳の聞こえる人)とはコミュニケーション方法が異なります。手話であったり、読話であったり、筆談であったり。そのために、社会に対して自分の考えを述べたりするのが苦手な人も多く、行政の窓口であっても要望を伝えるのに時間がかかり、あきらめる例も多々あります。これらの現状からも、聴覚障がい者同士での助け合いは聴導犬普及に不可欠だと信じております。
岸本淑子、私の妻ですが、理事として就任しました。1999年の聴導犬みかん(茨木県での元保護犬)の貸与からすでに11年のキャリアです。2頭目の聴導犬しんのユーザーでもあります。他の会員たちも聴導犬の働きのすばらしさや、国連で制定された「補助者」として介助者と同様の頼りがいがあることを、社会のみなさまにもっと、もっと理解していただけるように、普及啓発活動に寄与していきたいと願っております。
(「全日本聴導犬ユーザーの会」News Letter創刊号より)
ADI再認定試験と三菱財団助成事業に関われた嬉しさ
聴導犬こんユーザー桑野仁美
ADI国際アシスタンスドック協会が実施する補助犬育成団体への国際認定試験の更新試験(2012年)に合格されましたこと、おめでとうございます。
私は、2012年2月に補助犬認定試験を聴導犬こんちゃんと一緒に受け、合格したあとも自宅内や周辺にて音の訓練や歩行訓練を続けております。ADIの認定試験の更新試験に参加させていただきました。カナダの育成団体の訓練主任が、試験官として来日。訓練だけでなく、3冊もの厚いファイルいっぱいの資料の提出など、認定試験は1日がかりで行われました。
私は、聴導犬ユーザーへの教育レベルや訓練修得。聴導犬への福祉の意識。社会への聴導犬親善大使としての役割の自覚などのテストを受けました。この時には、電車の乗車訓練までご披露し、高い評価をいただくことができました。
この更新認定試験のために、事前の訓練として歩行を協会スタッフの方にみていただきました。その際、ゆっくり歩いて、こんちゃんが前に出ないように意識して一つずつの動作を丁寧に行う指導を受けました。ユーザー自身では気づきにくく、日頃の慣れでやってしまうことも、修正できるアフターケアの大切さを実感いたしました。また今回、三菱財団の助成のもと作成された聴導犬普及のDVD、本についても関われました。
日常生活の中でもさまざまな方に聴導犬について聞かれます。個人的に説明するだけではなく、DVDや本のような、より多くの方に聴導犬の存在を知っていただける媒体により、聴導犬への理解を深めていただけると期待しております。
最後になりましたが、ADI更新試験、聴導犬普及媒体作成という貴重な体験にわずかといえども参加させていただけたことを、うれしく思います。ありがとうございました。
(「(福)日本聴導犬協会新聞」 23号より)
天才・聴導犬こんちゃん(動物保護団体ARKから譲渡犬)が音をおしえてくれるので、生活が一変しました
「聴力お手伝いペット犬」のすばらしさから「聴導犬」の良さを再認識
長野県初の聴導犬かるユーザー&「全日本聴導犬ユーザーの会」事務局 村澤久実子
10年前(1999年)は精密機械の会社で働いていたために聴導犬の同伴ができず、断念しました。
その時に、日本聴導犬協会で聴導犬にならない犬で、里親を探していたヒロちゃん(伊那保健所からの譲渡犬)をペット犬として譲渡していただきました。私が元々、聴導犬に興味があったこともあり、協会からの申し出で、聴導犬ではないのですが家の中だけで音を教えてくれる「聴力お手伝いペット犬」として、ヒロに3つまでの音を教えてくれる訓練をしてもらいました。その折に、私自身も聴力お手伝いペット犬のユーザーとしての滞在訓練を2泊3日で受けました。ヒロが音を教えてくれることで、生活での不安が大きく減りました。
「音」を利用することで、生活の安全や安心を得られるとヒロが教えてくれました。協会に依頼して、最終的に8つまでの音を教えられるお手伝いペット犬の訓練を受け、ヒロは私と夫の生活を10年間支えてくれました。特に目覚まし時計は、音で起こしてもらえるだけでなく、ヒロが教えてくれる信頼感と安心感で、これまでになく熟睡できるのです。
ところが、2009年からときどき寝坊してしまうようになりました。
ヒロが起こしてくれません。協会のスタッフからも「犬も10歳を超えると、年齢で耳が遠くなる子もいる」と聞きました。ヒロは老齢性の難聴でした。
ヒロが音を教えられなくなり、以前の生活に戻りました。福祉機器に頼りますが、訪問客を逃してしまったり、お鍋をかけっぱなしにしてしまい、焦がすとか空焚きをしてしまいます。とても不安になりました。
(福)日本聴導犬協会に正式に申込み、かるちゃん(長野県ハローアニマルからの譲渡犬)との訓練が始まりました。かるちゃんは、新潟県の聴導犬として貸与された聴導犬ですが、「毛が抜けやすい」とのユーザーのご家族からの意向で、毛の抜けにくい聴導犬と交代し、協会に戻っていたところでした。すでに訓練も終わっていますし、認定試験にも1度合格しています。後は、私が聴導犬ユーザーとしての訓練を重ねるだけです。協会には車で通勤し、歩くことも少ないので、かるちゃんとの歩行訓練がなかなか進まないなど、仕事をしながらの訓練なので、いろいろ大変なこともありました。でも、無事に2010年2月に認定試験に合格し、聴導犬かるちゃんとの生活が始まりました。
ヒロちゃんの難聴で音を知らせてもらえないという不安も、聴導犬かるちゃんが来て解消されました。聴導犬との生活のすばらしさは「音」を利用したことのない私たち「ろう者」にとっては、わかりにくいものです。ヒロとの快適な生活。聴導犬かるちゃんがもたらした家の中だけでなく、外の両方で音をおしえてくれる安心感をもっともっと多くの聴覚障がいの方に実感してほしいと願っております。聴導犬育成へのご支援をみなさま、なにとぞ、よろしくお願い申し上げます。